研究課題/領域番号 |
18059012
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
酒井 秀紀 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (60242509)
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研究分担者 |
森井 孫俊 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (60019130)
田渕 圭章 富山大学, 生命科学先端研究センター, 助教授 (20322109)
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キーワード | 胃酸分泌細胞 / 胃酸分泌機構 / 細管小胞 / プロトンポンプ / リン脂質 / K^+-Cl^-共輸送体 / トランスポートそーム / ラフト |
研究概要 |
本研究では、胃酸分泌細胞における酸分泌機構の最終段階におけるトランスポートソームの構成と調節機構を明らかにすることを目的とした研究を行い、以下のような興味深い知見を得た。 1.ブタ胃粘膜標本の分別遠心により、胃細管小胞に富む膜画分(GIベシクル;酸分泌休止状態に対応する)、および分泌膜に富む膜画分(SAベシクル;酸分泌刺激状態に対応する)をそれぞれ調製した。SA画分の総リン脂質に占めるホスファチジルコリンの割合は、GI画分の場合よりも有意に高かった。一方、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、およびスフィンゴミエリンの割合はGIベシクルとSAベシクルとの間で有意差はなかった。 2.SAベシクルにおいて胃H^+,K^+-ATPase(胃プロトンポンプ)は、界面活性剤のCHAPS(0.5-1%)に不溶性の画分に局在しており、ラフトマーカーのflotillin-2の分布パターンと一致していた。一方、GIベシクルにおいて胃プロトンポンプは、CHAPSに不溶性および可溶性の両画分に分布していた。コレステロールを引き抜くことでラフト構造を破壊するmethyl-(3-cyclodextrinで処理すると、胃プロトンポンプのATP加水分解活性は有意に低下した。 3.K^+-Cl^-共輸送体のKCC4に対する抗体を作製し、KCC4がSAベシクルに高レベルで発現していることを見出した。GIベシクルにおいてはKCC4の発現レベルは低かった。 以上の結果から酸分泌刺激に伴い、胃細管小胞膜に存在する胃プロトンポンプはラフトに移行し、KCC4と機能連関するものと考えられた。
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