本年度は新規な「リアクティブタグシステム」の構築を目指して以下の3点についての検討を行った。 1)「リアクティブタグシステム」に適用する有機化学反応の検討 2)タグを付加させたEGFPタンパク質の大腸菌発現系構築 3)新たに見いだした「リアクティブタグシステム」のEGFPタンパク質ラベル化への応用 我々がすでに見いだしているタグ/プローブペアであるD4タグ/Zn(II)-DpaTyrペアを応用し、これにシステインチオール残基とα-クロロケトンを反応部位としてそれぞれD4タグおよびZn(II)-DpaTyrへと組み込んだ。両者の反応性についての知見を得るため様々な配列を有するモデルペプチドを合成してタグ配列の最適化を行った結果、D4配列とシステインの間にアラニンを6つ挿入したCA6D4配列が特異的に大きな近接効果を発揮し高い反応性を示すことが判明した。次に最適化を行ったタグ配列をタンパク質EGFPへ組こむため大腸菌発現系の構築を行った。発現系はプラスミドpET28にEGFPとタグ配列(CA6D4)に対応する遺伝子を挿入した得た後、BL21 DE3 pLysS大腸菌株を用いて大量発現を行った。得られたタグ付きEGFPタンパク質に対してα-クロロケトン基を有するZn(II)-DpaTyrプローブを反応させたところ反応は極めて速やかに進行した。すなわち開発した「リアクティブタグシステム」はタンパク質上においても有効に機能することを明らかとした。
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