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2007 年度 実績報告書

プレセニリンを介したカドヘリンーカテニン複合体とシグナル伝達のクロストーク

研究課題

研究課題/領域番号 18059019
研究機関京都大学

研究代表者

木下 彩栄  京都大学, 医学研究科, 教授 (80321610)

研究分担者 植村 健吾  京都大学, 医学研究科, 助教 (00378663)
キーワードアルツハイマー病 / プレセニリン / リン酸化 / シナプス / シグナル伝達 / カドヘリン / カテニン
研究概要

家族性アルツハイマー病(FAD)の原因遺伝子であるプレセニリンPS1は、多くの膜蛋白質を膜内で切断するセクレターゼである。興味深いことに、PS1は、海馬のシナプス可塑性に必須の接着分子であるN-カドヘリンとシナプス上で共存している。細胞膜上でN-カドヘリンはカテニン系の分子を介し、ア細胞に安定した接着基盤を提供していると考えられてきた。しかしながら、われわれは、これまで、接着分子と考えられていたカドヘリンが、神経伝達依存性にPS1により切断を受けて、膜から細胞内、核へと輸送され、βカテニン核シグナル(Wntシグナル)を調整していることを見出した。さらに、PS1のこの働きは、GSK3βというリン酸化酵素によって制御されることも明らかになった。これによりわれわれは、いろいろな修飾を受けたPS1が分子スイッチとして「膜の接着」と「シグナル伝達」のクロストークを制御している可能性を想定している。この研究課題で、PS1を介したカドヘリンーカテニン複合体の機能的実態を解明することで、神経伝達をトリガーとして引き起こされるPS1-カドヘリンーカテニン複合体によるシグナル伝達制御という一連の流れを明らかにし、それが、アルツハイマー病(AD)の病態解明につながることが期待される。この研究では、PS1がGSK3βによりリン酸化という修飾を受けることでその局在機能が変化すること、さらに細胞の接着という要因がPS1のコンフォーメーションを変化させて、その機能が調節を受けることがあきらかになった。これが、PS1の機能調節、ひいてはアルツハイマー病における病態の解明につながり、新たな治療戦略につながることを期待している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] γセクレターゼとシナプス機能2008

    • 著者名/発表者名
      植村健吾、安藤功一、久保田正和、木下彩栄
    • 雑誌名

      Cognition and Dementia 7

      ページ: 46-54

  • [雑誌論文] GSK3beta activity modifies the localization and function of presenilin1.2007

    • 著者名/発表者名
      Uemura K., Kuzuya A., Shimozono Y., Aoyagi N., Ando K., Shimohama S., & Kinoshita A.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry 282

      ページ: 15823-32

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Amyloid beta inhibits ectodomain shedding of N-cadherinvia down-regulation of cell-surface NMDA receptor.2007

    • 著者名/発表者名
      Uemura, K., Kuzuya, A., Aoyagi, N., Ando, K., Shimozono, Y., Ninomiya, H., Shimohama, S., & Kinoshita, A.
    • 雑誌名

      Neuroscience 145

      ページ: 510

    • 査読あり
  • [学会発表] 細胞の接着状態によるgammaセクレターゼの構造と切断機能の調節2007

    • 著者名/発表者名
      木下彩栄
    • 学会等名
      第30回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2007-12-14
  • [学会発表] N-cadherin enhances extracellular secretion of Abeta and modulates Abeta42/40 ratio.2007

    • 著者名/発表者名
      植村健吾、青柳信寿、安藤功一、高橋良輔、下濱俊、木下彩栄
    • 学会等名
      第26回日本認知症学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2007-10-07
  • [学会発表] カドヘリン切断に対するアミロイドβ蛋白の影響2007

    • 著者名/発表者名
      植村健吾、葛谷聡、青柳信寿、安藤功一、下濱俊、木下彩栄
    • 学会等名
      第48回日本神経学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2007-05-16
  • [図書] 神経変性疾患のサイエンス2007

    • 著者名/発表者名
      木下彩栄, 他 (高橋良輔 編)
    • 総ページ数
      247
    • 出版者
      南山堂

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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