課題1:セロトニン神経細胞においてセロトニントランスポーター(SERT)が突起伸長を促す分子機序を明らかにする。 自閉症の多発家系において、同定されたSERTのミスセンス変異体がセロトニン由来神経細胞RN46Aに対して、胞面積の大型化、突起伸長を促すかを検討した。検討した5種類のSERTミスセンス変異体のうち一種類(S56ASERT)で、野生型SERTが持つ細胞大型化させる能力が欠失していることを確認した。SERTの細胞内局在を検討したところ、野生型めSERTは細胞膜、フィロポディア様の突起構造物に存在していたのに対し、S56ASERTでは、退縮している細胞が多数見られた。この結果から、自閉症(広汎性発達障害)の発症原因に、SERTの細胞形態を変化させる能力が関係しているのではないかと考えられた。 課題2 : SERTの糖鎖修飾と膜輸送がその機能調節にどのように関与しているのか、その分子機序を明らかにする。 セロトニントランスポーターの取り込み能力における細胞特異性を検討した。腎由来のCOS-7細胞とセロトニン神経由来細胞株RN46A細胞にSERTを発現させ、セロトニン取り込み能力の特性を検討したところ、発現させたSERTの取り込み能力は、RN46A細胞のほうがCOS-7細胞より有意に高いことがわかった。このように、SERTの取り込み能力には細胞特異性があることが明らかになった。
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