CFTRは嚢胞性腺維症の原因遺伝子であり、508番目のフェニルアラニンを欠損する変異型CFTRを有する患者においては、細胎内のERでCFTRが異常分解され、結果として粘膜上皮細胞の腺腔側細胞膜にCFTR Cr-チャネルが存在しないために疾患が誘発される。本研究においては、CFTRに結合する分子複合体がいかに機能しCFTRの生成と分解を制御するか、その分子基盤を解明することを目的とした。Yeast two-hybri dsystemにより従来検出したCFTR R ドメインに接着する遺伝子ファミリー(the CFTR R-domain InteractingProtein(CRIP):CRIPl ・ CRIP2 ・ CRIP3)は、相同性が高くZinc Ring Fingerを有するC末端領域でCFTR Rドメインに結合し、中央部でシャペロン分子Hsc70と結合する。内在性にCFTRを発現するヒト唾液腺由来培養細胞(HSG細胞)、において、作製した抗体を用い内在性のCRIPsの発現量を比較すると、CRIP1とCRIP3に比較しCRIP2の発現量が多く観察された。CRIPlとCRIP3は成熟型CFTRの生成をそれぞれ促進的および抑制的に制御するが、CRIP2に関してはsiRNAを用いて内在性CRIP2の発現量を低下させた際および遺伝子導入によりCRIP2を過剰発現させた際の双方において、成熟型CFTRの生成は促進され、現時点でその分子機能を明らかにで貪ていない。完全長のCRIP1 ・ CRIP2 ・ CRIP3は核内もしくは核周囲領域に存在するが、ALLN感受性プロテアーゼにより切断修飾され、Zinc Ring Fingerを含みCFTRのRドメインに対する結合能を有するCRIPのC末端領域が細胞質に一過的に移行することが観察された。特に切断修飾されたCRIP3は細胞質に顕著に存在した。Zinc Ring Finger を介してCFTEのRドメインに結合するCRIP1 ・ CRIP2 ・ CRIP3は、切断修飾を受け細胞内局在を変化させながら、Hsc70を含む分子シャペロン複合体の中で、もしくはそれらとは独立して、成熟型CFtR生成を桔抗的および相補的に制御することが示唆された。
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