今年度、以下のふたつの実験を行った。 (1)「プレスチン蛋白の精製」Baculo virus-High Five細胞を用いて、プレスチンのC末端にFLAG tagを付加した蛋白を大量発現させた。膜画分から蛋白を得、FLAG affinityカラム、および、ゲルろ過カラムで精製し、毎回、ゲル電気泳動し、銀染色およびWestern blottingにより、精製を確認した。当初、かなり凝集が起きて、ゲルろ過後、期待する位置での収量は少なかった。この点を克服するために、detergentの種類、pH緩衝剤の種類、溶液のイオン強度、glycerolやsucroseの添加濃度等の至適条件を系統的にスクリーンし、また、lipidの添加による蛋白の安定化についても試みた。さらに、分離を高めるために、ゲルろ過カラムを交換することにより、ようやく、凝集していない精製蛋白を得ることに成功した。このサンプルを用いて、負染色による電顕像を得て予備的な単粒子構造解析を行った。その結果、4方対称の像が得られ、機能ユニットが4量体で構成されることが、ほぼ確実になった。 (2)「結合蛋白の分子同定」これまでに、C端細胞内領域をbaitとして、Yeast Two hybrid法による脳のライブラリーのスクリーニングを行ったが、めぼしい候補は得られなかった。そこで、次のストラテジーとして、免疫共沈蛋白の精製を試みた。FLAG tagのついたプレスチンの部分蛋白を大腸菌を用いて精製し、マウス脳由来の蛋白と混和し、免疫共沈する蛋白を探索した。その結果、候補と考えられる蛋白がみつかり、現在、2次元電気泳動により、詳細な確認を進めている。
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