研究課題
9つあるInterferon regulatory factor (IRF)ファミリーメンバーと、Toll like receptor (TLR)のアダプター分子であるMyD88に蛍光タグを付けFRET解析したところ、IRF1・IRF4・IRF5・IRF6・IRF7がMyD88と直接結合することを見出した。更に光変換が可能であるKaede蛍光蛋白をタグとして、IRFの核移行動態を観察したところ、MyD88と結合したIRFが迅速に核へ移行することが見出された。そこで、これらIRFファミリー分子がMyD88と直接結合することで活性化し、それぞれ特異的遺伝子を誘導することでTLRによる遺伝子発現プログラムに多様性を与えているというモデルを考えた(Immunity 25:349-60,Nat Rev Immuno 16,644-658)。実際、IRF1欠損マウスを検討したところ、IRF1はMyD88依存性に活性化され、IL-12やNO産生を増強することで病原体感染防御に貢献していることが見出された(PNAS 103,15136-15141)。また、複数のTLRはお互い協調して炎症性サイトカイン産生に働くことが知られているが、MyD88と結合するIRF5がその中心的役割を果たしていることも見出した(BBRC 354,1045-1051)。更に、MyD88と結合するIRF5の抗体クラススイッチにおける役割についても検討した。IRF5欠損マウスにおいて、アジュバントとともに免疫した抗原に対するIgG2aへのクラススイッチ異常が認められた。IgG2aは自己免疫疾患との関連が指摘されており、IRF5がいかにしてクラススイッチに関与するのか、その時空間活性化メカニズムから検討中である。更にIRF7の活性化を制御する因子の同定を試みた。IRF7はMyD88とともにエンドソームに局在するため、その活性化にはリガンドが長時間エンドソームに留まっている必要がある。そこで、MyD88とIRF7を効果的に活性化できる細胞である形質細胞様樹状細胞からcDNAとそれがコードする蛋白質が結合した形のライブラリーを構築した(CFPDライブラリー)。このCFPDライブラリーをリガンド(非メチル化DNA)を結合させたカラムにアプライし、非メチル化DNAに特異的に結合する分子を解析したところ、いくつかのリボゾーム蛋白が同定された。現在同定されたリボゾーム蛋白の役割について検討中である。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
Biochem Biophys Res Commun 354巻
ページ: 1045-1051
Proc Natl Acad sci USA 104巻
ページ: 3402-3407
Immunity 25巻
ページ: 349-360
Nat Rev Immunol 6巻
ページ: 644-658
IUBMB Life 58巻
ページ: 290-295
Proc Natl Acad Sci USA 103巻
ページ: 15136-15141