研究概要 |
我々は,前年度までにin vitro骨髄細胞培養系において,NK細胞が,IL-7依存的なsyngenicプレB細胞の増殖を,インターフェロンγ(IFN-γ)の産生を介して抑制していることを見出したが,この時,骨髄細胞をIL-15を添加して培養するとMac-1+B220+の表現型を示すNK細胞サブセットが選択的に増殖しているる事を新たに見出した。このNK細胞サブセットは,ごく最近,活性化型NK細胞であり,さまざまなエフェクター機能,すなわちサイトカイン産生やキラー活性に高値を示すサブセットとして記載され注目を集めている細胞である。また,IFN-γ受容体を欠損するマウス由来の骨髄細胞ではプレB細胞の増殖は抑制されなかったこと,MHCクラスI分子の存在しないβ2ミクログロブリン(β2m)欠損マウス由来骨髄細胞を用いた場合でも本システムにおけるプレB細胞の増殖抑制は強く働いたことから,このNK細胞サブセットは,NK細胞のエフェクター機能の獲得に必須ではないかと疑われている「ライセンシング」の不在を超えてsyngenicプレB細胞の増殖抑制に関与しうることがわかった。この研究の結果,IL-15が産生される条件下で,すなわち炎症時などに,このNK細胞サブセットが生体内における造血,特にB細胞造血の調整に関与している可能性が示唆された。実際にどのような条件の下でこのような抑制作用が機能しているのかについては,今後の課題である。
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