マウス体節をウズラ胚に移植したキメラ実験により、体節に由来する内皮細胞が動・静脈両方の血管へ寄与することが報告されている。この報告を非侵襲的に再検証するために、体節特異的にCreリコンビナーゼ遺伝子を発現するMoxl-Creマウスと、Cre-loxPシステムに依存してlacZレポーターを発現するCAG-CAT-Zマウスを掛け合わせて得られる胚をX-gal染色によって解析した。この結果、lacZ陽性細胞は体節領域においてもモザイク状にしか見られなかった。したがって、レポーターマウスをRosa-floxed-lacZマウスに代えて再解析したところ、胎生10.5日目において体節領域にlacZが強く検出された。次に、免疫組織学的方法でlacZレポーターと血管内皮細胞マーカーの共染色を行ったところ、lacZ陽性の血管内皮細胞が一部に認められた。しかしながら、lacZ陽性の血管内皮細胞が多いとはいえず、発生時期などを変えてさらに解析する必要があると考えている。また、体節内に血管内皮前駆細胞が発生し高次血管構築に寄与する過程を観察するために、Flk1遺伝子座に蛍光タンパクEGFP遺伝子をノックインした胚を用いてタイムラプス解析を試みた。体節と血管の位置関係を容易に観察できるように胎生8.5日目胚を横断し、50%DMEM/50%ラットIC血清を基礎培地として横断した組織を倒立顕微鏡のステージ上に設置したチャンバー内で静置培養した。この方法で、明視野タイムラプス撮影をすることができた。そこで、水銀ランプ光を当ててEGFP陽性血管内皮前駆細胞の観察に取り組んだが、この条件では器官発生の進行が傷害されていた。水銀ランプ光による組織障害や微妙な培養条件のブレなどが原因となっている可能性が高く、現在さらなる条件検討を行っている。
|