研究課題
本研究は、嗅神経特異的に発現するzinc-finger型転写因子(Fez2)ノックアウトマウスのトランスクリプトーム解析で得られた細胞外マトリックス分子(Klk6)に焦点をあて、これら細胞外マトリックス分子のin vivoでの生理的機能を明らかにすることを目的とする。匂いを受容する嗅神経は嗅上皮に存在し、脳の嗅球と神経連絡を形成する。ところがFez2欠損マウスの嗅神経では嗅球へ軸索が到達せず、これは軸索が胎生12.5日(E12.5)で嗅球表面の基底膜を貫通できないためであることが免疫組織染色で分かった。基底膜のモデルであるマトリゲル中で嗅上皮組織片を培養すると、Fez2欠損マウスの嗅神経では軸索が野生型より短くなり、軸索の基底膜分解能の低下が示唆された。嗅上皮を用いたマイクロアレイの結果、セリンプロテアーゼKlk6の発現がFez2欠損マウスにおいてほぼ消失していることが分かった。Fez2欠損マウスE11.5胎児の嗅上皮にエレクトロポレーションでKlk6を導入したところ、嗅神経の嗅球への投射が回復した。以上より本研究では、嗅神経軸索が嗅球へ到達する過程で、嗅球表面の基底膜を分解する際にFez2とKlk6が重要な働きをすることが分かった。
すべて 2006
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