研究課題/領域番号 |
18062003
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森永 正彦 名古屋大学, 大学院工学研究科, 教授 (50126950)
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研究分担者 |
秋庭 義明 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00212431)
中島 英治 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (80180280)
金子 賢治 九州大学, 工学研究院, 助教授 (30336002)
大久保 忠勝 (独)物質・材料研究機構, 主任研究員 (00242462)
市坪 哲 京都大学, 大学院工学研究科, 助教授 (40324826)
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キーワード | 巨大ひずみ / ナノ材料 / 格子欠陥 / 材料加工・処理 / 転位密度 / 放射光 / 電子顕微鏡 / 3次元アトムプローブ |
研究概要 |
巨大ひずみ材料は、極めて多くの物理的要素が複雑に絡み合った材料である。本研究では、原子レベルでの材料解析を多面的に行い、巨大ひずみによる高密度格子欠陥・極微細組織の形成機構と、巨大ひずみ材料が示す高強度・高延性の両立などの特異な機械。物理特性を解明することを日的としている。平成18年度の成果は、以下の通りである。 1.ショットピーニング加工した中炭素鋼の表面から内部にかけての残留応力分布を、種々のエネルギーの放射光によって非破壊的に測定し、表面直下に大きな圧縮残留応力が存在することを明らかにした。 2.ECAP法およびARB圧延により強加工した純銅と純アルミニウムの中に蓄積されたひずみ量を評価するため、X線回折法により転位密度を求めた。加工パス2回で転位密度はほぼ飽和し、その後はほぼ一定値となった。 3.精密イオンポリシングシステムを用いて、ARBで強加工した純銅の高分解能電子顕微鏡観察用の試料作製法を確立した。作製試料の電子顕微鏡観察を行い、粒界近傍の特異な原子構造を確認した。 4.透過型電子顕微鏡法と3次元トモグラフィ法を組み合わせて、Al-Ag系のGP帯の3次元形状の評価と変形したGP帯とせん断帯の観察から局所ひずみを見積もった。せん断帯にあるGP帯は1.8の相当ひずみを受けていた。 5.透過型電子顕微鏡と3次元アトムプローブにより、メカニカルミリング法とスパークプラズマ焼結法で作製したバルクFe-C合金のナノ組織を解析した。圧縮変形時の大きな塑性ひずみは、バイモーダル結晶粒組織に起因することを明らかにした。 6.ARBで強加工したアルミニウムは、熱処理後に硬化し圧延後に軟化するという、金属材料とは逆の性質を示す。これを理解するために、X線回折法から転位量を求め、超音波減衰率から可動転位を評価した。ARB直後の材料では転位がタングルしているが、熱処理によってそれが解消されることが示唆された。
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