研究課題/領域番号 |
18062007
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
香山 正憲 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 上席研究員 (60344157)
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研究分担者 |
田中 真悟 独立行政法人 産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 研究員 (50357448)
吉矢 真人 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00399601)
上杉 徳照 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (10405342)
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キーワード | 第一原理計算 / 結晶粒界 / 転位 / 溶質 / 点欠陥 / Grain-subdivision / 機械的性質 / 電子構造 |
研究概要 |
[粒界・界面の結合性と強度] 積層欠陥、twin、傾角粒界、ねじり粒界の第一原理計算で、AlとCuとでエネルギー値等に顕著な違いが見出され、結合性の違い(Alの共有結合性)から説明できることが判明した。新規手法である局所エネルギー密度・応力密度の第一原理解析をこれらに適用し、界面のエネルギーや応力が結合性(電子構造)に依存する様子が示された。Alの傾角粒界にMg、Siを偏析させた系の第一原理引っ張り試験を行い、pureなAl粒界の引っ張り挙動と比較した。Mgは電子濃度を低下させ界面を弱くするが、Siは強固なSi-Alボンドを形成し、破断しにくくする。SiやMg添加の超積層試料での実験と比較検討した。 [粒界方位差増大とそれへの不純物効果] Al粒界で系統的に傾角を変えて第一原理計算を行い、結晶粒微細化の後半に生じる傾角増大に必要な歪みエネルギーを算出し、転位芯領域での定量評価を行った。典型的な不純物Mg、Siを粒界偏析させ、傾角増大に必要なエネルギーの計算を行った結果、Mgは配列した転位近傍の局所歪みを緩和する効果が少ないが、Siは局所歪みを緩和するよう電子が配置し、結晶粒微細化における傾角増大を容易にすることが示唆された。これらの知見は、結晶粒微細化の制御に有益である。 [粒界エネルギーと過剰体積] Al、Cu、Pd、Ag、Auについて数種の[110]対応傾角粒界の粒界エネルギーと過剰体積を算出し、過剰体積と粒界エネルギーがほぼ比例していること、比例係数は金属の剛性率と相関することが判明した。計算結果を用いて超微細粒・ナノ結晶金属における平均粒界エネルギーを算出する方法を提案した。また、Alについて、粒界エネルギー・過剰体積の異なる3種類の粒界でMgの偏析エネルギーを検討し、粒界エネルギーや過剰体積の大きい粒界ほど粒界偏析しやすいことを見出した。
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