IV族系量子デバイスの高性能化のために重要となる高度歪Si_<1-x>Ge_x/Siヘテロ構造の高品位形成と原子層ドーピング制御を可能とする原子層制御プラズマプロセスの構築を目指し、本年度は、プラズマCVDプロセスによる高濃度B原子層ドープSi薄膜形成について研究を進めた結果、Si(100)上へのB原子層形成とその上への原子オーダ平坦性を有するナノメートルオーダ厚さSiキャップ層のエピタキシャル成長を基板非加熱下で実現した。そして、B原子層をSiキャップ層中の厚さ約1nmの極薄領域に閉じ込めることに成功した。さらに、表面が原子オーダで制御されたSi編Ge系エピタキシャル成長と歪制御について研究を進めた結果、プラズマCVDプロセスによって形成した歪緩和Ge/Si(100)エピタキシャル薄膜上に、500℃での熱CVDプロセスにより、ナノメートルオーダ厚さの高平坦高濃度Bドープ歪Si薄膜のエピタキシャル成長が可能であることを見いだした。一方、歪Si^<1-x>Ge_x/Siヘテロ構造を適用した二重Si障壁共鳴トンネルダイオードの製作と高性能化についても研究を進め、界面ラフネス発生を抑制した高Ge比率化の推進により、Ge比率0.58において負性抵抗消失温度を290K対にまで高温化することを実現した。以上のように、IV族系量子デバイス製作のための原子層制御プラズマプロセス構築のために重要な成果を得た。
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