IV族系量子デバイスの高性能化のために重要となる高度歪Si_<1-x>Ge_x/Siヘテロ構造の高品位形成と原子層ドーピング制御を可能とする原子層制御プラズマプロセスの構築を目指し、本年度は、基板非加熱ECRプラズマCVDプロセスによる高濃度B原子層ドープSiエピタキシャル薄膜形成について研究を進めた結果、Siキャップ層形成におけるプラズマの低エネルギー化の推進は、Arプラズマ照射によるSi結晶へのプラズマ損傷やB還元脱離の問題を抑制し、Si単結晶ナノ薄膜へのB原子層ドーピングの超高濃度化のために極めて重要であることを明らかにした。また、表面が原子オーダで制御されたSi-Ge系エピタキシャル成長と歪制御について研究を進めた結果、プラズマCVDプロセスによって形成した歪緩和Ge/Si(100)エピタキシャル薄膜上に500℃熱CVDプロセスによりエピタキシャル成長させたナノメートルオーダ厚さの高平坦高濃度Bドープ歪Si薄膜において、ホールの室温Hall移動度は表面歪量が大きくなるとともに増大し、表面歪量約2%において約3倍にまで達することを見いだした。さらに、歪Si_<1-x>Ge_x/Siヘテロ構造を適用した二重Si障壁共鳴トンネルダイオード製作と高性能化についても研究を進め、歪Si_<0.42>Ge_<0.58>上へのSiキャップ層エピタキシャル成長において、従来のSiH_4の代わりに反応性の高いSi_2H_6を原料ガスとして用いることにより、Si堆積を低温化・高速化させることにより、界面ラフネス発生を効果的に抑制でき、室温での負性コンダクタンス特性を向上につながることを明らかにした。以上のように、IV族系量子デバイス製作のための原子層制御プラズマプロセス構築のために重要な成果を得た。
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