金属ナノドット不揮発性メモリは金属ナノドット膜を有する次世代不揮発性メモリである。金属ナノドット膜は絶縁体の母材中に微細な金属ドット(Metal Nano-Dot;MND)が分散して埋め込まれた構造を有する膜で、このドット1つ1つが浮遊ゲートとして作用する。今年度は、Self-Assembled Nano-dot Deposition(SAND)法を用いて、シリコン酸化膜中に金属ナノドットを形成し、ナノドット及びメモリ動作について評価した。使用した金属は大きな仕事関数を有するタングステン、コバルト、白金などである。SAND法は、金属チップと絶縁体の複合ターゲットを同時スパッタすることによって金属ナノドット膜を成膜する方法で、ナノメータオーダの金属ドットが高密度に分散している膜が形成できる。ドットのサイズと密度は金属チップの量により調整する。今回、金属チップ表面被覆率が30%のとき、直径3nmで密度1x10^<13>/cm^2のコバルトナノドットが得られた。また、金属ドットのサイズと密度の表面被覆率依存性を調べた結果、表面被覆率が30%までは、金属ドットサイズが小さくなると同時に密度が増加する。一方で、表面被覆率が30%以上になると、金属ドットサイズは大きくなり、密度が減少する。次にタングステンナノドット膜(直径2.5nm/密度〜1x10^<13>/cm^2)を用いて、MOSキャパシタを作製した。作製した金属ナノドット膜の厚さは7nm、熱酸化で形成したトンネル酸化膜は厚さ3nm、スパッタ法で形成したコントロール酸化膜の厚さは7nmである。ゲート電極にはAlを使用した。容量-電圧特性を測定したところ、約0.23Vのヒステリスが現れ、かつ、しきい値がマイナスシフトしていた。このことから金属ナノドットにホールが保持されていると考えられる。詳細な測定・解析を実行中である。
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