研究課題
本研究はHigh-k絶縁膜を用いた金属ナノドット不揮発性メモリの実現を目指している。金属ナノドットは従来のSiドットに比べて大きな仕事関数を有しているために、電荷保持特性が格段に優れている。また、High-k絶縁膜の導入により、低リーク電流と高電荷保持特性が期待できる。SAND法を用いて、SiO_2中に微細タングステンナノドット(W-ND)を高密度に形成した。W-NDのサイズは1.5〜2nm、面密度は10^<13>/cm^2以上である。W-NDを埋め込んだ酸化膜を絶縁膜にしたMOSキャパシタを試作・評価した。キャパシタの高周波(1MHz)容量電圧測定では、ゲート電圧を正から負の方向へ掃引した後、連続して負から正の方向に掃引した場合にメモリウィンドウが現れた。これにより、電子がSi基板からW-NDへ注入されていることが明らかになった。掃引電圧に依存してメモリウィンドウの大きさが変化し、±12V掃引時に9.2Vのメモリウィンドウが得られた。このメモリウィンドウに対応する電荷(電子)量は約1.7×10^<13>cm^<-2>であり、従来の報告に比べて極めて大きな値である。さらに電荷保持特性についての検討も行った。±12Vを印加した場合、10^6秒後にほぼメモリウィンドウがなくなり、10年間の電荷保持を達成できない。電荷保持時間が短い原因を明らかにするために、800℃真空中アニール前後のWのXPS分析を行った。その結果、W-NDが成膜直後に酸化されていることが判明した。これはSAND法によるナノドット形成中に、W-NDが周囲のSiO_2により酸化されていると推測される。W-NDが酸化されることにより、捕獲される電子のエネルギー状態が変わり、電荷保持時間が短くなると考えられる。また、大きな仕事関数を持つFePtナノドットを有するMOSキャパシタの作製と評価も行っており、大きなメモリウィンドウが得られている。
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Japanese Journal of Applied Physics (印刷中)
Japanese Journal of Applied Physics Vol.46
ページ: 2167-2171