研究課題
ナノスケール素子では電子やイオン化不純物が少数個になるためにそれらの離散性が顕在化する。しかも、電子や不純物は理論的な取り扱いが極めて困難な長距離クーロン相互作用を及ぼし合うことから、素子特性を正確に予測するためには、離散的な不純物や電子のもつ長距離クーロンポテンシャルを正確に考慮したデバイス・シミュレータが必要不可欠になる。当該グループでは、クーロン相互作用を高精度に導入したバルクに対する3次元モンテカルロ・シミュレータを、これまでにない精度で構築した。今年度はさらに、典型的デバイス構造をシミュレータに導入することで、ナノスケールでの電子輸送機構の解明を行った。デバイスサイズのナノスケール化に伴ってデバイス特性が劣化することを見出した。つまり、理論的に本研究者が予測したように、デバイスの単純な微細化では完全に弾道的なバリスティック輸送は実現しないばかりか、そのような物理描像が物理的に誤りであることを明らかにした。また、最も汎用的なドリフト拡散デバイス・シミュレータを用いて特性揺らぎの定量的な予測を可能にするために、そこで用いられる離散不純物モデルの検証を上述のモンテカルロ・シミュレータを用いて行った。その結果、従来から用いられている離散不純物モデルでは移動度が大幅に過小評価されること、本研究者が提案している不純物モデルは正しい移動度を再現することを明らかにした。これらの結果は、当該研究分野で最も権威ある国際会議IEDMとサテライト会議のISDRSにおいて米国で口頭報告した。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
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