Ge nMOSFETのn+/p接合の課題克服のため、有機原料tertialybutylarsine(TBA)を用いた気相拡散法により、Ge中にAsを拡散させてn+/p接合を形成し、その電気特性を評価した。結果として、低温での接合形成が可能となり、欠陥生成の抑制により約1-2桁の逆方向接合リーク電流の低減が実現できた。高性能のGe n-MOSFET実現のため、界面準位密度の低い熱酸化GeO2/Ge MOS界面とこの気相拡散法による接合形成を組み合わせてnMOSFETの試作を行い、電流のオンオフ比で1E5程度、移動度の最大値1020cm2/Vs(Si電子移動度の約1.4倍)という優れた特性を得た。 また、Si基板上の(110)面薄膜GOI pMOSFETに関し、(110)面上での移動度のチャネル方向依存性を調べ、<110>方向で移動度が最大になること、(100)面Si正孔移動度と比較して3倍、同程度の厚さの(110)面薄膜SOIの正孔移動度と比較して1.5倍の移動度向上が、高電界領域で得られることが分かった。 更に、フルホイスラー合金を用いたGeチャネルスピンMOSFETのためのハーフメタルS/D技術の開発を行い、エピタキシャルGe/超薄膜SOI/BOX/Si基板上にCoとFeを超高真空中で堆積して窒素雰囲気中でRTAすることにより、Co2FeGe(CFG)を形成した。X線回折構造解析から、CFGはB2構造、L21構造を含む規則構造をとること、CFGの組成をストイキオメトリにすると、B2規則度は大きく改善すること、この規則度はRTA温度に依存し、700℃で最も規則度の高いCFGが形成できることが明らかとなった。
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