研究課題
我々は、自己整合3次元構造化とマルチフェロイック材料を活用する事により、新しいデバイス開発に取り組んだ。特に、酸化物半導体をベースとした励起子空間ゆらぎ素子の開発および自然超格子マルチフェロ材料の開発とその薄膜デバイス化に関する研究を行った。前者においては、表面プラズモンを活かした光電子デバイスを作製し、半導体特性を凌駕する性質を有することを明らかにした。特に、光励起下で生成される量子井戸内の電子・正孔対(励起子)と、表面プラズモンとの動的共鳴の研究は、高機能な発光及び光電変換材料の創製に寄与すると思われる。本項目において、量子井戸内に形成された局在励起子の空間的不均一(揺らぎ)が表面プラズモンとの光結合に重要に寄与していることを見出した。これは、励起子の双極子振動と金属表面の自由電子振動の電磁気相互作用に基づくものであると考えられる。後者においては、多層超構造を有し、多彩な物性を発現すると期待される六方晶鉄酸化物RFe2O4(R:希土類元素またはIn)に注目して、これまで報告されていなかった薄膜化に成功した。RFe2O4は菱面体晶系(空間群R3m)に属する層状酸化物でありFeイオン混合原子価状態(R Fe2+Fe3+O4)をとるフェリ磁性体(または反強磁性体)である。Feイオンは三角格子二層を単位とする擬2次元層構造を有し、また電荷の配置に関してフラストレーションを実現するため、Fe2+とFe3+の超格子構造が出現することが分かった。
すべて 2010 2009
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Nano Lett., DOI:10.1021/nl902405s(2010) 1(印刷中(掲載確定),in press)
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