研究概要 |
1. ハイブリッドFG-MOSキャパシタ 1.1 Si-QDs/NiSi-NDsハイブリッドFG-MOS構造における光誘起電荷移動 Si-QDs/Nisi-NDs/Si-QDsハイブリッドFG-MOSキャパシタの暗状態および光照射下で測定した高周波容量-電圧(C-V)特性を調べた結果,暗状態においてゲート電圧を+9Vから負バイアス方向へ掃引したとき,フラットバンド電圧(V_<FB>)が理想C-V特性から3.57Vシフトしていることから,ハイブリッドFG中へは電子が注入・保持され,注入電子はNiSi-ND中に保持されていると考えられる.一方,光照射下においては,V_<FB>が暗状態に比べて0.45V減少し,正ゲート電圧とNiSi-NDsに保持されている電荷により生じる電界によりNiSi-NDs内で光励起された電子が3層目のSi-QDsに移動することで電荷中心がゲート電極側ヘシフトとした結果として理解できる. 1.2 NiSi-NDs/Si-QDsハイブリッドFG-MOSキャパシタにおける電荷注入特性 負のパルスバイアス印加により正孔注入した時のフラットバンド電圧シフト(ΔV_<FB>)をパルスバイアス印加時間の関数としてまとめた結果,ΔV_<FB>の減少は,FGの正帯電量の増加レートが,段階的に減少することを示しており,ゲートバイアス-2V印加してFGに正孔を注入後,正バイアスパルス印加した場合には,n-Si基板からの電子注入によりFGの正帯電量が段階的に減少する.これは,Si-QDsに比べ,深い閉じ込めポテンシャルを持つNiSi-NDsの正帯電量の変化が,Si-QDsの離散化したエネルギー状態で制限されることに起因していると解釈できる. 2. 表面前処理がリモート水素プラズマ支援金属マイグレーションに及ぼす影響 極薄金属薄膜へのH_2-RP処理による金属ナノドット形成において,RP前処理あるいは金属表面へのガス吸着がドット形成に及ぼす影響を調べた.Pt薄膜にRP処理を施した後の表面形状像から,NH_3およびN_2-RP処理後においても,Pt原子の表面マイグレーション・凝集によるPtナノドットの形成が認められ,ドット面密度はH_2-RP処理した場合(~1.5×10^<11>cm^<-2>)に比べ,NH_3-RP処理では~2.3倍,N_2-RP処理の場合は~3.7倍増加した.N_2-RP処理後,さらにH_2-RP処理を行った場合,ドット密度に顕著な変化は無いが,ドット高さが僅かに増大し,N_2-RP処理直後のPt膜表面には窒素が~5×10^<13>cm^<-2>化学吸着していることから、表面N結合によってPt原子の表面マイグレーションが抑制されたと解釈できる. 3. H_2-RP支援によるCoおよびCoシリサイドナノドット形成 H_2-RP処理をS_1O_2膜上および自己組織化形成したSi-QDs上のCo膜(膜厚:~2.0nm)に適用し,Co-NDsおよびCoSi-NDsの高密度形成を行った.RP処理後において,面密度~2.6×10^<11>cm^<-2>のCoナノドット形成(平均ドット高さ:~5.8nm)が認められ,Co箔の温度がプラズマ照射直後では約400℃に達することから、この結果はCo表面に入射した原子状水素の再結合に起因した局所加熱で解釈できる.
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