研究概要 |
ホウ素基を有機分子に直接導入する方法は意外に少なく、利用できるホウ素源もまた限られている。代表的な合成法は、不飽和炭化水素のヒドロホウ素化反応とホウ酸エステルまたはハロボランと有機金属試薬のトランスメタル化反応である。我々は、ホウ素化合物のトランスメタル化反応あるいは酸化付加反応を基軸とするホウ素化合物の触媒的合成法を中心に調査し、ジボロンやピナコールボランを用いる有機ハロゲン化物のホウ素化、芳香族C-H結合の直接ホウ素化反応などの開発に成功した。これら触媒サイクルには遷移金属-ホウ素結合錯体が鍵中間体として含まれる。本研究課題では、これら遷移金属-ホウ素錯体の特性を利用した反応開発、反応機構を精査する。特に非金属元素であるホウ素、ケイ素化合物のB-C, B-B, Si-C, Si-Si結合の遷移金属錯体に対するトランスメタル化あるいは酸化的付加反応、およびこれら反応で生成する金属錯体の化学的調査を行う。
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