研究課題
応答性の制御機構を組み込んだ応答性メタロ超分子を合成し、元素どうしの直接的および間接的な相互作用を制御することによって、分子全体あるいは分子集合体の機能を改変できる新規な分子システムを構築することを目的に研究を行った。シッフ塩基部位を二つ持つsaloph配位子は優れた配位能を持ち、その錯体は種々の機能を発現することが知られている。そこで、この部位を三カ所導入した大環状化合物を合成して各種の金属イオンとの錯形成を検討したところ、非常に協同的なクラスター生成を実現することができた。例えばこの分子は7当量以上の亜鉛を加えると定量的に7核錯体を与えることが、NMRや吸収スペクトルによる検討、および元素分析から示唆された。この錯体は94%の収率で赤色の結晶として得られた。さらにX線結晶構造解析により、1つの配位子に7つの亜鉛、6つの酢酸イオン、1つの酸素原子からなる7核クラスター錯体であることがわかった。その他、複数の異なる金属を協同的に取りこむことができる大環状配位子について、ヘテロ多核金属テンプレートとする新しい大環状化合物の合成法を開発した。2,3-ジヒドロキシベンゼン-1,4-ジカルバルデヒドと1,2-ビス(アミノオキシ)エタンをテンプレート非存在下で反応させたところ、複数種の環状化合物およびポリマー状の生成物が得られたが、ランタン(III)を1当量、亜鉛(II)を3当量共存させてこの環化反応を行い、続いて脱メタル化を行ったところ、ほぼ定量的に[3+3]環化体が得られた。このように【3+3】環化体のみが得られてくるのは、用いたジアルデヒドが1当量のランタン(III)および3当量の亜鉛(II)とヘテロ四核錯体を形成し、その四核コアを保ったままジアミンと反応して環状配位子の錯体となっているためだと考えられる。
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