研究課題/領域番号 |
18064005
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鍋島 達弥 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (80198374)
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研究分担者 |
秋根 茂久 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究所, 講師 (30323265)
池田 忠作 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 準研究員 (30378541)
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キーワード | 超分子化学 / 分子認識 / 配位結合 / 応答性分子 / 協同効果 |
研究概要 |
高い協同性的機能をもつ分子は、必要な時に必要な機能を発現したり、機能の増幅が可能な高機能性分子素子への展開が期待されるため近年非常に注目を集めている。また金属一金属間相互作用、金属一典型原子間相互作用、金属一イオン間相互作用はメタロ超分子の構造や機能に大きな影響を与えことができるので、これを利用すれば、多彩な応答性分子を構築できると考えられる。本研究の目的は、このような協同的な制御機構を組み込んだメタロ超分子を合成し、元素どうしの直接的および間接的な相互作用を制御することによって、分子や分子集合体の機能を改変できるシステムを構築することである。本年度は、昨年度得た知見をもとに、シッフ塩基やオキシム部位を複数もつ多様な多座配位子を合成し、それらによる協同的構造変換を中心に検討した。 salenのイミン部位をオキシムに置き換えた配位子salamoはC=N結合の組み替えに対して安定であり、多核錯体を形成しやすいことを我々は見いだしている。今回、このsalamo配位子のフェノール酸素を硫黄に置き換えた配位子H_2L^1-H_2L^4を合成し、その協同的な錯形成について検討した。特にNi(II)の場合は、協同的な錯形成によってキュバン型四核コアを持つクラスターが生成した。その磁化率の温度依存性を解析したところ、四核コア内では強磁性的な相互作用が支配的であることがわかった。さらに酢酸銅(II)との錯形成では、配位子H_2L^1-H_2L^4全てにおいてN-O結合の開裂が起き、二核錯体が得られた。この錯体について磁化率の温度依存性を解析したところ、二つの銅イオン間には強い反強磁性的相互作用が働いていることがわかった。
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