研究概要 |
本研究では, 多様な電子状態および配位状態をとるAlやInなどの13族典型元素と有機鉄錯体触媒が共存・協働する複合反応剤を設計し, アルケン・アルキン類やハロアルカンを活用する精密炭素-炭素結合生成反応の開発を目指す. この成否の鍵を握るのはアニオン性典型元素配位子を介した遷移金属中心と典型金属元素中心との動的相互作用の精密制御であり, その為には触媒反応の鍵サイクルとなる酸化的付加および金属交換過程における, 複数元素の空間的および電子的な相互交渉の解明を行った. また, 高精度量子化学計算による各素反応過程の詳細な反応機構を検討し, さらに最適な空間配置および電子状態の設計に基づく複数元素間相乗効果の創出にも挑戦した. 本年度は, 基盤となる触媒系の確立から標的反応への応用に注力して研究を進めてた. 機能性有機分子の合成反応として重要な塩化アリール類とアリール金属および金属アミド試薬のクロスカップリング反応を開発することが出来た. 本炭素-炭素および炭素-窒素結合生成反応の基質適用範囲を確認しながら種々の触媒前駆体の検討を重ね, 共触媒がもっとも効率的かつ選択的に生成物を与える反応系を見いだした. これらの成果は二報の査読つき学術論文と15件の学会発表として報告し, また関連する二件の特許出願を行った.
|