研究概要 |
本研究では,多様な電子状態および配位状態をとる遷移金属触媒と典型金属化合物が共存・協働する複合反応剤を設計し,アルケン・アルキン類やハロアルカンを活用する精密炭素-炭素結合生成反応の開発を目指す.この成否の鍵を握るのはアニオン性典型元素配位子を介した遷移金属中心と典型金属元素中心との動的相互作用の精密制御であり,その為には触媒反応の鍵サイクルとなる酸化的付加および金属交換過程における,複数元素の空間的および電子的な相互交渉の解明を行った.また,高精度量子化学計算による各素反応過程の詳細な反応機構を検討し,さらに最適な空間配置および電子状態の設計に基づく複数元素間相乗効果の創出にも挑戦した.研究期間中を通し,鉄を基盤とした触媒系の確立から標的反応への応用に注力して研究を進めた.成果として,機能性有機分子の合成反応として重要な塩化アリール類とアリール金属および金属アミド試薬のクロスカップリング反応,ハロアルカンと有機マグネシウム,亜鉛,アルミニウム,ホウ素化合物とのカップリング反応をを開発することが出来た.これらの成果は平成21年度中に,6報の査読つき学術論文と25件(内招待講演6件)の学会発表として報告し,また関連する二件の特許出願を行った.
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