研究概要 |
1.銅触媒を用いるハロゲン化アルキルとグリニャール試薬とのクロスカップリング反応はメチレン鎖の構築手法として一般に利用されているが、本系で用いるハライドはブロミドやヨージドなどの反応性の高い基質の利用に限られる。今回、より安価で汎用性の高いクロリドを用いるクロスカップリング反応の開発を目指し検討を行ったところ、π炭素系配位子を添加剤として用いることにより、効率よく反応が進行することを見出した。2.炭素-フッ素結合は有機化合物の中で最も不活性な結合の1つであり、多くの試薬に対して安定である。その中でも、ペリフルオロ基の炭素-フッ素結合は特に不活性な結合であり、この炭素-フッ素結合を炭素-炭素結合及び炭素-ヘテロ元素結合へと変換することは一般に困難とされている。一方、我々はヘキサン溶媒中、1級、及び2級、3級フッ化アルキルと種々の元素及びヘテロ元素官能基を有する有機アルミニウム試薬との反応を見出している。今回我々は、アルキール基及びC1基を有するアルミニウム試薬(Me_3A1, AlC1_3)とα,α,α-トリフルオロトルエンとの反応をジクロロエタン/ヘキサン溶媒中で行うことにより、不活性なCF_3基の3つのフッ素が全て有機アルミニウム試薬の官能基により効果的に置換されることを見出した。
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