研究課題
本研究は、複数の遷移金属中心を含む多核遷移金属錯体と、複数の高周期典型元素を含む分子との多中心相互作用を錯体化学的に解明し、これらの複合体の新規な触媒機能を開発することを目的としている。今年度は、(1)複数の近接したヒドロシランを持つ化合物と遷移金属の複合系の金属の拡張、反応の拡張の検討、(2)反応中間体の捕捉と反応機構の検討、ならびに、領域内共同研究として、鉄触媒を用いる反応の反応機構、精密ナノクラスターの合成と反応、について研究を実施した。(1)については、従来のルテニウム触媒を用いる反応系で2級アミドの還元、1級アミドからニトリルへの変換反応を実現したほか、金属を環境適応型元素である鉄に拡張し、鉄カルボニル触媒とテトラメチルジシロキサン、ポリメチルヒドロシロキサン反応剤を用いて、光、熱両方の過程で3級アミドの還元を達成した。また、反応の拡張としてポリメチルヒドロシロキサンと金属から誘導される金属内包ゲルが触媒として機能することを見出し、とくに白金触媒を用いて繰り返し再使用可能な触媒反応を達成した。(2)については、ロジウム、イリジウム、白金等で、複数のSi-H基をもつヒドロシランの酸化的付加を錯体化学的に検討し、反応機構の解明に寄与する成果を得た。(3)においては、とくに鉄触媒を用いるカップリング反応の反応機構について、中間体の単離と反応に基づく新しい反応機構を提唱したほか、鉄触媒を用いる制御されたラジカル重合を達成した。また、ナノ粒子触媒に関する予備的知見を集積した。
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