研究課題/領域番号 |
18064014
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永島 英夫 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50159076)
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研究分担者 |
本山 幸弘 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (20283492)
砂田 祐輔 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (70403988)
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キーワード | 分子触媒 / クラスター / 還元反応 / 脱水反応 / シリコーンゲル / 固定化触媒 / 鉄触媒反応 / 反応機構 |
研究概要 |
本研究は複数の元素が相乗的に相互作用をおこす元素相乗系化合物を設計し、その分子触媒としての機能と反応機構の解明を目指している。とくに、クラスターを含む遷移金属錯体が複数のSi-H基を含むヒドロシランを特異的に活性化する機能を持ち、カルボニル化合物のヒドロシラン還元に大きな加速効果をもたらすこと、多数のSi-H基を含むポリヒドロシロキサンを用いると加速効果だけでなく、反応後に生じる不溶性のシロキサンゲルに用いた触媒がカプセル化して自動除去することを見出している。本年度は、まず金属種の多様化を検討し、イリジウム触媒を用いるとアミドから還元、脱水を経由してエナミンが選択的に生成することを明らかにした。また、3核ルテニウムクラスターは上記のヒドロシランの存在下、アミドのアミンへの還元反応に良好な触媒活性を示すが、1級アミドに適用すると還元ではなく脱水反応がおこりニトリルが生成することを見出した。これらは複数のSi-H基の近接効果により初めて発現するが、ロジウム錯体を用いてその機構の解明をおこない、ジシラメタラサイクル中間体の関与を明らかにした。一方、シリコーンゲルに内包された金属種は、不溶性にもかかわらず触媒作用を示す。これを拡張して、3核ルテニウムクラスターまたは白金触媒と適切な架橋剤により金属内包ゲルを合成し、それを回収再使用可能な触媒として用いることに成功した。本特定領域研究の中で共同研究した成果として、鉄触媒を用いるカップリング反応の反応機構の解明を実施し、新しい触媒サイクルを提案した。また、領域テーマと関連した反応性多核錯体の開発、ナノ粒子触媒の開発をおこない、成果を得た。
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