嵩高い3脚型アリールオキシド配位子[^<tBu>O_3]^<3->をもつ2核ニオブ錯体[K(dme)]_2[{(^<tBu>O_3)Nb}_2(μ-H)_4](1)は窒素雰囲気下でH_2の脱離と窒素分子のN≡N3重結合の切断を伴いながら、ニトリド錯体[K(thf)_2]_2[{(^<tBu>O_3)Nb}_2(μ-N)_2](2)を与える。ニトリド錯体2と過剰のCH_3Iを室温で反応させると、2つのニトリド配位子のうちひとつがメチル化された錯体[{(^<tBu>O_3)Nb}_2(μ-N)(μ-NCH_3)]^-(3)が得られる。温度を60℃にし、引き続き反応を行うと残るニトリド配位子のメチル化が進行し、中性のビス(イミド)錯体[{(^<tBu>O_3)Nb}_2(μ-NCH_3)_2](4)が生成する。次に、イミド錯体とCO_2の反応を検討した。2核錯体4はCO_2と反応しない。しかし、錯体4とピリジンC_5H_5Nの反応から得られる単核錯体[(^<tBu>O_3)Nb(NCH_3)(C_5H_5N)_2](5)はCO_2と速やかに反応し、ureate錯体[(^<tBu>O_3)Nb{(NCH_3)_2C=O}(C_5H_5N)](6)と2核オキソ錯体[{(^<tBu>O_3)Nb}_2(μ-O)_2](7)を2 : 1の割合で与える。錯体5とCO_2の反応では最初に[2+2]環化付加反応が進行し、carbamate種[(^<tBu>O_3)Nb{(NCH_3)(O)C=O}]を与える。引き続きC-O結合切断により、イソシアン酸CH_3NCOとオキソ種[(^<tBu>O_3)Nb(O)]を与える。オキソ種は直ちに2核化し、2核錯体7を与える。イソシアン酸は未反応のイミド錯体5と反応し、ureate錯体6を生成したと考えられる。上記の反応を通し、ニオブ錯体反応場として用いることにより、窒素分子と二酸化炭素をureate基へ変換したことになる。
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