研究概要 |
本年度は、メソポーラスシリカの内壁と外表面をシラン化合物で選択修飾して、内部と外部のマスキング法を検討した。また、これらの物質について、物理化学的な手法により構造解析を行った。規則配列した細孔構造をもつメソポーラスシリカ(MCM-41、SBA-15)を用いて、疎水基あるいは親水基をもつアルコキシシラン(R-S_1(OEt)_3)と表面OH基の反応から、メソポーラスシリカの内壁と外表面のOH基を選択的にマスキングすることにした。疎水基としては、プロピル基とフェニル基、,親水基としてはメルカプト基とアミノ基の導入を試みた。まず、外表面マスキングを検討課題として実験を進めたが、外表面OH基とシラン化合物の反応は、エタノール還流条件下で行った。回収した試料を窒素吸着、XRD、固体NMR、透過型・拡散反射IR、紫外-可視分光法、元素分析で構造解析すると、目的とした外部マスキング試料を調製できることが分かった。しかし、残存エタノールがスペクトルや元素分析に大きな影響を与える場合があるので、試料を十分に乾燥することが重要である。同様の手法で、内部マスキングした試料の調製を行ったが、この場合、OH墓の数が外部に比べて多いので、アルコキシシランとの反応をトルエン還流条件で行った。しかし、この反応条件では、シラン化合物同士の反応が促進されて、細孔内表面上に多層積層していることが分かった。従って、100℃以下の温和な条件で反応させることが肝要である。現在、この条件で試料を作成し構造解析を進めている。
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