本年度は、まず初めにメソポーラスシリカ担体中に白金ナノ粒子を高分散担持した触媒を合成し、水素中微量一酸化炭素選択酸化(PROX)反応を行った。PROX反応用の触媒としては多数の報告があるが、水素中の微量COと酸素のみを反応させるのは一般に困難である。従来触媒では、150℃以下の低温でCOの完全除去は困難であったが、本触媒では40〜100℃の低温域でもCO転化率がほぼ100%であり、CO酸化の選択率も95〜100%ときわめて高いことが分かった。また、4日間の連続運転でも構造変化が無く、耐久性も高いことが判明した。このように、メソポーラスシリカ担持白金ナノ粒子は活性・選択性・耐久性ともに優れた触媒である。さらに、白金量を0.5〜1wt%に低減化した場合には、空間速度を下げることによって高いCO酸化活性・選択性を達成できることを見いだした。 このように、PROX反応では白金ナノ粒子とメソポーラスシリカの触媒協奏機能が発現した。しかし、メソポーラスシリカの細孔内外表面の役割を明確に区別した検討は行われていない。白金ナノ粒子/メソポーラスシリカ触媒においても、金属ナノ粒子がメソポーラスシリカの外表面に担持されている可能性を排除できない。そこで、界面活性剤を抜く前のメソポーラスシリカMCM-41をシラン化合物(例えばPhSi(OEt)_4やNH_2C_3H_6Si(OEt)_3)で処理して外表面OH基をマスクした。その後、界面活性剤を抜き、白金やコバルトナノ粒子を担持して外表面修飾型の触媒を調製した。この試料をさらにシラン化合物で処理して、内表面上の残存OH基をマスクした内表面修飾型触媒も調製した。これらの試料を粉末X線回折、窒素吸着および元素分析で構造解析し、内外表面OH基の選択的マスキングが可能であることが示唆された。
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