研究課題/領域番号 |
18065002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水野 哲孝 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (50181904)
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研究分担者 |
山口 和也 東京大学, 大学院工学系研究科, 講師 (50334313)
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キーワード | オレフィン / エポキシド / エポキシ化反応 / バナジウム / 過酸化水素 / 固定化触媒 / ポリオキソメタレート / 多核活性点 |
研究概要 |
酸化剤および基質の効率的な活性化を行うことが要求される酸化触媒にとって、多電子移動反応の促進や多成分の同時活性化が可能な多核金属活性点は酸化反応を効率よく進行させるための"理想的な活性点構造"である。本研究では、酸化耐性に優れた金属酸化物クラスター中に多核金属活性点を構築し、これを触媒とする炭化水素類の選択酸化触媒の開発を行っている。本年度は、2個のヒドロキソ基により架橋されたV-(μ-OH)_2-Vサイトを有する[H_2SiV_2W_<10>O_<40>]^<4->(I)が過酸化水素を酸化剤とした種々のオレフィン類のエポキシ化反応に対して、高活性、特異的な選択性を示すことを見出した。さらに、Iの固定化による不均一系触媒の開発も行った。Iは、活性サイトとして2個のバナジウムがヒドロキソ基により架橋されたV-(μ-OH)_2-V構造を有し、過酸化水素を酸化剤とした種々のオレフィンのエポキシ化反応に触媒活性を示すことを明らかにした。例えば、1当量の過酸化水素を用い、通常反応性の低い末端オレフィンに対して、収率87%以上、選択率99%でエポキシドが得られた。単核V置換ポリオキソメタレートでは全く反応が進行しなかったことから、多核金属活性サイトV-(μ-OH)_2-Vが本反応に重要な役割を果たすことがわかった。さらに、種々の分光学的手法および速度論的解析により触媒Iを用いたエポキシ化反応の反応機構も明らかにし、多核金属活性点の重要性を明らかにした。
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