Pd-dppe錯体を用いてH-P(O)Ph_2をジインと反応させると環化付加が進行する。一方、H-P(O)Ph_2とモノインの反応は添加物としてホスフィン酸を加えると選択的に分岐付加体を与える。Pd-dppe錯体を用いるH-P(O)Ph_2とジインの反応にホスフィン酸を加えると、予期に反して付加環化反応が進行し、しかもホスフィン酸不存在下より極めて効率化されることが分かった。そのメカニズムを詳細に検討した結果、ボスフィン酸とPh_2P(O)-Pd中間体との間に水素結合があり、ボスフィン酸とパラジウムとの協奏触媒作用によって環化付加反応の生起と反応の効率化がもたらされたものと推定された。この過程で、塩基触媒によるH-P(O)結合のアセチレンへの付加反応も見いだし、生成物の発光特性を明らかにした。 一方、hemilabileな挙動を示すことを見いだしたC=N結合とP=O結合の両者を含む配位子を用いるエチレンの低重合を更に検討した結果、10^5g mol^<-1>Nih^<-1>オーダーの低重合活性を示すことを明らかにした。さらに、同配位子の性質をHeck反応をプローブとして評価し、標準的なPPh_3配位子より高い比較的良好な性能を示すことを明らかにした。 ロジウム触媒を用いる酸塩化物のアセチレン結合への付加反応において、共存させる塩化物の協奏触媒効果について検討し、立体選択性が反転することを見いだした。しかし、脱カルボニル化を抑制すると期待されたルイス酸共存化の反応では、特に目立った効果は認められなかった。
|