研究概要 |
パラジウム触媒を用いることでチオールの1-アルキニルホスフィンに対する付加反応が位置および立体選択的に進行することが明らかとなった。エタノール中室温で触媒量の酢酸パラジウム存在下、1-アルキニルジフェニルホスフィンにチオールを作用させたところ、(Z)-1-ホスフィノ-2-チオ-1-アルケンが高収率かつ単一の異性体として得られた。ヒドロホスフィン化と同様に本反応も様々な官能基が基質内に共存していても問題なく進行する。 1-アルキニルホスフィンに対するカルボメタル化が有機銅アート錯体を用いることで効率良く進行し、様々なアルケニルホスフィンが得られることを見いだした。エーテル溶媒中ジフェニル(フェニルエチニル)ホスフィンに対してジブチル銅アート錯体を作用させた後、求電子剤を加えて反応を停止した。硫黄を加えて空気中で安定なホスフィンスルフィドに変換した後、後処理と精製を行ったところ対応するアルケニルホスフィンスルフィドが収率良く得られた。本反応では種々のアルキルグリニャール反応剤から調製したジアルキル銅アート錯体を用いることができる。 カチオン性ロジウム触媒存在下,1,6-ジインと1-アルキニルホスフィンスルフィドを反応させると形式的[2+2+2]環化付加が起こり,対応するチオホスフィニル置換ベンゼンが高収率で得られることを見いだした。こうして合成したトリアリールホスフィンスルフィドはトリス(トリメチルシリル)シランを用いたラジカル還元反応によってかさ高いトリアリールホスフィンに効率よく変換することができた。
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