活性プロトン耐性触媒として、おもにインジウム化合物を触媒とする分子変換法の開発を行なった。 以下に項目ごとにまとめる。 ○インジウムヒドリドの高活性化 金属交換等により発生させたインジウムヒドリドは、系の溶媒は添加した配位子の影響を鋭敏にうけ、還元能力を調整することが可能となり、官能基耐性のある還元反応に用いることが可能となった。また、発生したインジウムヒドリド種をスペクトルにより確認することに成功した。 ○カルボン酸原料の反応開発 カルボン酸は活性プロトンを含む化学種であり、その利用にはこれまで大きな制限があった。しかし、インジウム塩を触媒とすることで、カルボン酸をシリルカルボキシレートに効率よく変換することができ、それが容易に他の求核種と置換反応を起こすことが判明した。トータルとして、カルボン酸の直接アルキル化変換を達成したとみなすことができる反応を開発した。 ○アルケンへのインジム種付加反応の実証と評価 これまで、我々はアルキンのカルボインデーションを見いだしていたが、等モルのインジウムを用いることで、アルキンとシリルエノラートの付加反応が実現し、カルボインデーションした化合物が高収率で得れることを見いだした。多くの反応基質に適応可能であり、さらなるクロスカップリングへの応用が期待できる段階にまで達成している。 ○シリルエノラートを求核剤とする反応開発 シリルエノラートを交差クライゼン縮合反応剤として用いることに成功し、高収率でジカルボニル化合物を得ることに成功した。インジウムの塩の種類により選択性が大きく変化し、官能基選択性を見いだすことができた。
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