研究概要 |
21世紀の最重要課題であるエネルギー・資源・環境問題を解決するためには、生命の機能原理を抽出・応用し、生命機能を凌駕する「生体模倣機能触媒化学」を創成することが必要不可欠である。本研究は、「選択性に優れかつ環境負荷の少ない触媒反応の開発」を命題とし、次世代の「協奏機能触媒」を創製する。具体的には、「水素分子のヘテロリティックな活性化」、「水素/重水同位体交換」、「窒素からアンモニアへの変換」、「ケト酸・アミノ酸の選択的合成」、「二酸化炭素からメタノール・メタンへの選択的変換」を水中・常温・常圧下で可能にする「生体模倣機能触媒(水中で触媒として機能するヒドリド錯体やアクア錯体)」の開発を行ってきた。その結果、「水素分子のヘテロリティツクな活性化」は、「水素活性化酵素である[NiFe]ヒドロゲナーゼの水素活性化状態のモデルとなる化合物の合成と、その構造解析」に成功した(Science,2007,316,585-587)。本研究成果は、今後の水素活性化の基礎研究の発展に寄与するとともに、次期エネルギー源としての水素の研究開発につながるとの高い評価を得た(平成19年4月25日にプレスリリース、Science誌のPerspectiveで紹介、C&EN NEWS(ACS)で紹介、Chemistry World(RSC)で紹介、平成19年4月27日、西日本新聞と日刊工業新聞に掲載された)。「水素/重水同位体交換」は、架橋ヒドリド配位子を持つ水溶性ルテニウムヒドリド錯体を触媒とする「水中でpHに依存したカルボニル化合物の水素化と水素/重水同位体交換反応」に成功した(Proc.Natl.Acad.Sci.,USAに平成20年3月8日投稿)。
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