研究概要 |
第一原理分子動力学の手法を電子励起状態に拡張し、非断熱結合やスピン-軌道結合により引き起こされる状態間遷移をあらわに考慮した汎用的分子動力学プログラムを開発することを目的として研究を進めている。生体において重要となる光反応の微視的機構への洞察を与える実在反応をターゲットとし、励起状態で進行する化学反応の動力学的機構を明らかにする。状態平均CASSCF法レベルの励起状態AIMD計算を実現するプログラムを開発し、cis-stilbeneの光異性化、7-azaindole(7AI)+H_2O系の励起水素移動、クマリン151の励起溶媒緩和、H_3O^+, HD_2O^+, CH_3^+の解離性再結合反応のダイナミックス、CH_3Iの光解離ダイナミックスを調べる。Tullyの状態遷移アルゴリズムを実装して非断熱遷移を考慮し、QM/MM法であるEffective Fragment Potential(EFP)法を組み込んで、溶液内光反応ダイナミックスを可能にした。
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