研究課題
本課題では、多電子過程や内殻電子過程などの様々な性質の励起状態や結合解離を高精度で記述することのできる新しい電子相関理論を開発し、様々な光電子過程に応用することを目的として研究を行った。21年度は主に下記の研究を行った。1. 紫外線遮蔽の光化学:紫外線B領域を吸収するメトキシシナメートの光化学について研究した。様々な置換体について実験の吸収スペクトルを精度よく再現することに成功し、その電子構造からパラ置換体が有用であることを理論的に示した。さらに励起状態の局所安定構造からの発光や励起緩和の反応経路を検討することによって、パラ置換体が励起緩和においても有効であることを示した。2. カルボシランの特徴的な光物性:長鎖のシリコン化合物はサーモクロミックな性質を示し、その光物性は興味深い。テトラシラン、ヘキサシラン、オクタシラン、デカシランのσ共役による特徴的な光物性について研究を行い、鎖状カルボシラン化合物の光物性とコンフォメーションの相関を明らかにした。3. ヘテロ原子を含むキレート共役分子の電子構造と光学的性質:ヘテロ原子を含むキレート共役分子であるピリジン、ベンゾザゾール、ベンゾチアゾール誘導体は工業的に重要な化合物である。本研究では、13種類のピリジン、ベンゾザゾール、ベンゾチアゾール誘導体の電子構造と光学的性質を明らかにした。SAC-CI法は、実験スペクトルが報告されている6つの分子について吸収エネルギーは0.3eV,発光エネルギーについては0.1eVの誤差で再現した。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (6件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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