研究課題
一重項ジラジカル分子の実在モデルとして中央に複素環、両端にフェナレニルラジカルを含有する縮環化合物を検討し、中央分素環の中心原子を換えることにより中央複素環の芳香属性を調節することで全系のジラジカル因子を0から1近くの範囲でコントロールし、第二超分極率の大きさを一桁以上の幅で変化させることに成功した。また、両端のフェナレニル環にドナー基を導入することで双性イオン構造の寄与を増大させジラジカル性を顕著に減少させγ値を制御することにも成功した。これらの結果から、ジフェナレニル化合物の化学修飾によるジラジカル性の制御とそれに基づくγの制御の見通しがたった。また、π共役架橋をもつジフェナレニル化合物においてドナー、アクセプター基を導入した中間ジラジカル性をもつ非対称電荷分布系において更なるγの増大と第一超分極率βの増大を高精度量子化学計算による予測した。これにより、我々の設計指針は2次の非線形光学特性にも有効であることが期待される。これら中間ジラジカル性をもつ系の非線形光学応答を精度よく計算できる方法として、スピンフリップ法に基づく有限場法を行い、高精度電子相関手法との比較からその高信頼性と大規模系への適用性の高さを明らかにした。ジラジカル系の非線形光形特性のジラジカル因子依存性と磁気的特性依存性を明らかにするため、2電子2軌道系のvalenceCI法を行い、γの解析式を導出し、ジラジカル因子との関係の起源を明らかにした。その結果、基底状態の磁気的相互作用(有効交換積分J)との関係も明らかになり、さらなるγの増大を与える新領域(基底状態で強磁性的相互作用をもつ系の中間ジラジカル性を示す励起-重項状態)の存在を理論的に予測した。現在、具体的な物質系でこの領域に属する系を探索中である。
すべて 2008 2007 その他
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (35件) 備考 (3件)
J. Phys. Chem. A 111
ページ: 3633-3641
Computing Letters 3
ページ: 251-256
ページ: 333-338
ページ: 441-448
Chem. Phys. Lett. 443
ページ: 95-101
Chemistry-An Asian Journal 2
ページ: 1370-1379
Phys. Rev. Lett. 99
ページ: 033001-4
ページ: 9102-9110
J., Chem. Theory Comput. 3
ページ: 1699-1707
Chem. Phys. Lett. 448
ページ: 99-105
AIP proceedings: Computational Methods in Sciece and Engineering, Theory and Computation: Old Problems and New Challenges CP963
ページ: 350-378
ページ: 102-105
http://koho.jim.osaka-u.ac.jp/pub/00001002/00000135.html
http://www.es.osaka-u.ac.jp/news/500.html
http://www.osaka-u.ac.jp/jp/press/now/pdf/now100.pdf