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2006 年度 実績報告書

相対論的多電子理論の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18066015
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

薮下 聡  慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50210315)

キーワード相対論 / 相対論的効果 / スピン軌道相互作用 / SOCI法 / ランタノイドイオン / 非断熱過程
研究概要

1.高周期元素において相対論効果の取り込みが不可欠であることは今や十分認識されているが、それを理論化学計算で考慮するのは多大な計算量が必要であるため小さな系に限られている。本研究ではこれをさらに大規模な分子系に適用できる相対論的分子理論の開発、つまり、size-consistentなMR-ACPF法などを含む多体摂動論への展開、また高周期元素系のダイナミックス理論の発展のためにエネルギー勾配法、非断熱結合要素など各種遷移行列要素の計算手法の開発を行う。今年度は特に、分子の解離領域におけるポテンシャル曲面と非断熱遷移に関する定量的研究を目指した応用計算を行った。
2.ICI IBrなどの2原子分子のポテンシャルエネルギー曲線は、解離領域でハロゲン原子のスピン軌道相互作用が顕著になるため、非常に複雑な非断熱相互作用を示す。実験的にはICIの解離生成物が持つ角運動量ベクトルの分極の程度を観測することで、解離領域における非断熱遷移確率が評価されている。SOCI法を用いた理論計算を行い、その角運動量ベクトルの分極の度合いが、励起レーザーの波長に依存する様子を、かなり良く再現することが出来た。一部、実験的な非断熱遷移確率と理論値の間に不一致が見られたが、これは、実験データから遷移確率を決定することがユニークではないことによると思われる。その他I_3^-イオンの光分解過程の詳細を調べた。次年度は、同様の取り扱いをBrClやCsIに行う予定である。
3.氷表面に吸着したCl_2分子を紫外光で解離させると、スピン軌道励起したClが生成しやすいという、川崎(京大)らの実験結果をSOCI法に基づく理論的手法で解析した。それによると、氷表面の存在は、遷移モーメントにはほとんど影響しないが、解離ポテンシャルには大きな影響を及ぼすこと、およびそれが軌道相互作用でよく説明できることが分かった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Photodissociation of gas-phase I_3 : Comprehensive understanding of nonadiabatic dissociation dynamics2007

    • 著者名/発表者名
      R.Nakanishi
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics (印刷中)

  • [図書] 分子の本質を解く(4章)(ライフコンジュゲートケミストリー IV編)2006

    • 著者名/発表者名
      藪下 聡
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      三共出版

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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