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2007 年度 実績報告書

相対論的多電子理論の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18066015
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

藪下 聡  慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50210315)

キーワード相対論的効果 / velocity gauge / length gauge / RECP法 / スピン軌道相互作用 / ランタノイド三ハロゲン化物 / ff遷移 / hyper sensitive transition
研究概要

相対論的効果を含めた電子状態計算としてRECP法が広く用いられているが、原子軌道は内殻領域で節を持たないため、特にvelocity gaugeを用いた遷移モーメントの計算方法において大きな誤差を生じる。一方、内殻領域の正しい原子軌道の振る舞いは良く分かっているので、その領域の影響を遷移モーメントの計算に含めて、RECP法の誤差を除くことは可能である。本研究の結果、1. 単純な2原子分子やランタノイド系で、その方法の定量性を調べた結果、期待したほどに精度は出なかった。2. Large core ECP法やMCP法を用いて内殻領域に節を持たせても、velocity gaugeとlength gaugeの振動子強度は数倍以上ずれた。3. ハミルトニアンにスピン軌道(SO)相互作用項を含めると、velocity gaugeでは、余分な補正項が必要になる。その項の影響は、比較的軽い原子では重要であるが、重原子系ではほぼ無視できる。4. 開発した手法をランタノイド三ハロゲン化物(LnX_3)のff遷移の振動子強度に応用した。全電子計算、RECP、MCP法の数値の一致度は、velocity gaugeに比べlength gaugeが良かった。5. LnX_3のff遷移が許容となる理由として、(1) 弱い電子遷移は、X3が作る配位子場の影響で、Lnの4fに5dが混入することによる。(2) 従来hyper sensitive transitionと呼ばれてきた強い電子遷移は、4f間の遷移に配位子X_3部分の励起の混入により、X_3部分の分極型励起からのintensity borrowingと解釈できる。(3) 各振動モードが振動子強度に及ぼす影響を考慮した結果、10%程度値を変化させることが分かった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 学会発表 (5件) 備考 (2件)

  • [学会発表] ランタノイド三ハロゲン化物のf-f遷移強度に関する理論的研究2009

    • 著者名/発表者名
      畑中美穂、藪下聡
    • 学会等名
      日本化学会第89春季年会
    • 発表場所
      船橋市、日本大学理工学部
    • 年月日
      2009-03-28
  • [学会発表] スピン軌道相互作用を含む遷移双極子モーメントの計算方法2008

    • 著者名/発表者名
      畑中美穂、藪下聡
    • 学会等名
      第2回分子科学討論会
    • 発表場所
      福岡市、福岡国際会議場
    • 年月日
      2008-09-27
  • [学会発表] CsIの光解離過程に関する理論的考察2008

    • 著者名/発表者名
      松岡貴英、藪下聡
    • 学会等名
      第2回分子科学討論会
    • 発表場所
      福岡市、福岡国際会議場
    • 年月日
      2008-09-24
  • [学会発表] CsI分子の光解離過程の理論的考察2008

    • 著者名/発表者名
      松岡貴英、藪下聡
    • 学会等名
      第11回理論化学討論会
    • 発表場所
      横浜市、慶應義塾大学
    • 年月日
      2008-05-23
  • [学会発表] スピン軌道相互作用を含む遷移モーメントの計算方法2008

    • 著者名/発表者名
      畑中美穂、藪下聡
    • 学会等名
      第11回理論化学討論会
    • 発表場所
      横浜市、慶應義塾大学
    • 年月日
      2008-05-22
  • [備考]

    • URL

      http://sepia.chem.keio.ac.jp/kenkyu1_new.html

  • [備考]

    • URL

      http://sepia.chem.keio.ac.jp/kenkyu2_new.html

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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