研究課題/領域番号 |
18066015
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
薮下 聡 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50210315)
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研究分担者 |
菅原 道彦 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (40276415)
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キーワード | 相対論 / スピン軌道相互作用 / SOCI法 / 非断熱遷移 / 量子干渉効果 / 円錐交差 / 負イオン光電子分光 / 交換相互作用 |
研究概要 |
1. (1)I_3-のCバンド励起による光分解反応によって、3体解離生成物I+I+I^-および2体解離生成物としてI^-+I_2とI+I_2^-が生成すること、またそれらの分岐比の励起波長依存性が実験的に調べられてきた。特に興味深いのは、気相と液相で、その分岐の様子が大きく異なる点である。しかしこれらの解離過程の詳細は不明確なままである。そこでI_3^-のポテンシャルエネルギー曲面を詳細な電子状態理論によって理論的に求め、さらに非断熱遷移を考慮した動力学計算を行うことによって、その光解離過程を解明することを行った。この結果、3体解離反応の経路上に存在する、円錐交差領域を通過後の軌跡の振る舞いが、3体と2体の割合を決定すること、さらに、2体解離領域に存在する回避交差領域における非断熱相互作用によってI-+I_2およびI+I_2-の分岐比が決定されることが分かった。さらに、分岐比の波長依存性とポテンシャル面との間の関係を検討した。(2)ICN分子の光分解によって生成するCNラジカルの回転準位に見られる微細構造準位の分布は、その回転量子数に応じて振動することが知られている。この原因を明らかにするため量子化学計算に基づいてポテンシャル面を計算し、量子干渉効果の評価を行った。この結果、励起状態のうち4A'と3A'の問の量子干渉効果が重要であることが分かった。 2. LnCOT_2^-(Ln=ランタノイド原子、COT=シクロオクタテトラエン)の電子状態を量子化学計算によって調べた。特にLn=Euの形式電荷が2価か3価かについて、詳細な理論的解析を行い、2価であること、およびEuの場合になぜ2価で、他のLnイオンの場合は3価を取りやすいかを詳細に調べた。併せて、LnCOT_2^-の負イオン光電子スペクトルの形状と、Lnイオンの4f電子と配位子COT部位との交換相互作用の様式の間の関係について検討した。
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