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2006 年度 実績報告書

空間・時間不均一ダイナミックス理論の構築

研究課題

研究課題/領域番号 18066018
研究機関分子科学研究所

研究代表者

斉藤 真司  分子科学研究所, 計算分子科学研究系, 教授 (70262847)

研究分担者 谷村 吉隆  京都大学, 理学系研究科, 教授 (20270465)
キーワード過冷却水 / 2次元ラマン分光法 / 2次元赤外分光法 / 分子動力学計算法 / 運動のスローイングダウン / 水素結合ネットワーク構造変化
研究概要

室温から過冷却状態におよぶ水の分子動力学計算を行った。とくに、水の場合には温度低下にともない密度が減少するので、密度の温度依存性が再現するといわれているTIP4P-2005を用い、体積一定および圧力一定条件の分子動力学計算を行った。得られた軌道を用いて、分極率やポテンシャルエネルギーの相関関数を計算し、温度低下とともに運動の低速化(ダイナミックスローイングダウン)が見られることを確認した。また、これらの相関関数をスペクトルに変換することにより、この運動の低速化が水素結合ネットワーク構造の組み替え運動が遅くなることに由来していることを明らかにした。また、1g/cm^3における等積および等圧熱容量の温度依存性を解析した。実験においては、約-40℃以下では水が結晶化してしまうために、温度の低い過冷却水の比熱は予測されているに過ぎないが、今回の計算の結果、等積熱容量の温度依存性は小さいが、等圧熱容量は約215-225Kで明確なピークを持つことが明らかとなった。
多次元振動分光法の解析として、水の2次元ラマン分光法と2次元赤外分光法の解析を行った。2次元ラマン分光法の結果から、衡振運動は並進運動に比べ調和振動的であるが、分極率テンソルを通して運動がカップルしていることを明らかにし、これらの結合した運動が和周波および差周波スペクトルとして2次元スペクトルに明確に見られることを示した。また、非平衡分子動力学法を用い、水の2次元赤外分光法の解析も行った。この分光法は3次分光法であり、スペクトル測定には4個の電場パルスが必要となる。計算の結果、シグナルの最大強度は、水の衡振運動の時間スケール(約20fs)での非常に速い減衰振動により強度が減少し、その後は並進運動に由来するゆっくりとした過減衰振動による強度変化が得られた。また、いわゆるエコーシグナルは、約100fs以下で強度が減少し、800fs程度で水素結合ネットワーク構造組み替えにより非常に弱くなることも明らかになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Proton Transfer and Associated Molecular Rearrangements in the Photocycle of Photoactive Yellow Protein : Role of Water Molecular Migration on the Proton Transfer Reaction2007

    • 著者名/発表者名
      M.Kamiya, S.Saito, I.Ohmine
    • 雑誌名

      J. Phys. Chem. B 111

      ページ: 2948-2956

  • [雑誌論文] Fifth-Order Two-Dimensional Raman Spectroscopy of Liquid Water, Crystalline Ice Ih and Amorphous Ices : Sensitivity to Anharmonic Dynamics and Local Hydrogen Bond Network Structure2006

    • 著者名/発表者名
      S.Saito, I.Ohmine
    • 雑誌名

      J. Chem. Phys. 125

      ページ: 084506-1-084506-12

  • [雑誌論文] Mechanism of Ion Permeation in Model Channel; Free Energy Surface and Dynamics of K^+ Ion Transport in Anion-Doped Carbon Nanotube2006

    • 著者名/発表者名
      T.Sumikama, S.Saito, I.Ohmine
    • 雑誌名

      J. Phys. Chem. B 110

      ページ: 20671-20677

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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