分子集団系における化学反応過程および反応機構を分子論的視点から明らかにすることを目的として、以下の2つの系に対して研究を進める: [1]水溶液中ミセルの疎水殻中への溶質分子の可溶化反応に対し、分子動力学計算に基づいた数値的に厳密な自由エネルギー計算を実行することにより、溶質のバルクの水中からミセルの疎水核への移動の自由エネルギー変化、および可溶化過程に対する自由エネルギープロフィールを得る。これにより、可溶化の反応機構を分子レベルで明らかにする。 [2]化学反応の非断熱量子過程の計算科学的研究を可能とするために、分子集団系における核の量子ダイナミクスに対するシミュレーションの新規方法論の開発を量子古典混合系近似の手法を基礎に展開し、量子動力学シミュレーション手法の確立を行う。さらに実在系の溶液中プロトン移動反応への展開を行う。
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