| 研究概要 |
本研究課題の目的は, 高次元の画像データから目的に応じた情報を抽出し, 高度の推論を行う確率推論システムをベイジアンネットワークとして構築する理論体系を情報統計力学的知見にもとついて確立することにある. 具体的には
1. 大規模確率場による高次元データ解析システム設計と近似アルゴリズムの構成と性能評価.
2. 確率推論モデルの混合による高度化された推論システムの設計理論の構築とその実現.
3. 情報通信方式と大規模確率場の構造的類似性にもとづく次世代通信システムへの実装.
の3点を段階的に推進してゆく. 平成20年度は特に上記2の実現にむけての確率伝搬法の新しい拡張の着想を得ることに成功した. この着想は確率伝搬法において可解確率モデルを自由に取込みながら取扱いの困難な確率モデルの高性能の近似アルゴリズムを構成することを可能とするものであり, その守備範囲を従来法から飛躍的に拡げるものである. 現在Webを介したデータマイニングなどへの応用が期待されている適応TAP法と呼ばれる方法のある拡張に対応するものとしても位置づけることができる. また, 一般のグラフ構造をもつ確率推論システムの性能評価法の提案を行っている. その成果の一部は, 海外研究者であるD. Titterington教授(英国Glasgow大学), V. Van Kerrebroeck研究員(伊国Roma大学), 津田宏治研究員(独国Max Plank研究所)の助言のもとでとりまとめ, International Workshop on Statistical-Mechanical Informatics(平成20年9月), International Conference on CIMCA2008(平成20年12月), 科研費特定領域研究2008年度研究成果報告会(平成20年12月)において報告している.
|
