研究概要 |
本研究課題の目的は,高次元の画像データから目的に応じた情報を抽出し,高度の推論を行う確率推論システムをベイジアンネットワークとして構築する理論体系を情報統計力学的知見にもとづいて確立することにある.具体的には 1.大規模確率場による高次元データ解析システム設計と近似アルゴリズムの構成と性能評価. 2.確率推論モデルの混合による高度化された推論システムの設計理論の構築とその実現. 3.情報通信方式と大規模確率場の構造的類似性にもとづく次世代通信システムへの実装. の3点を段階的に推進してゆく.平成21年度は特に上記2および3の実現に向けての確率伝搬法による統計的性能評価法の提案とアルゴリズム設計に成功した.この着想は確率モデルの構造におけるスピングラス理論との類似性に着目し,確率伝搬法による統計的推論の性能評価法の一般的設計理論に道を開くものとして国内外の研究者から高い評価を受けている.さらに,ベイジアンネットワークを用いた統計的学習システムにおける確率伝搬法を用いた汎用アルゴリズムを設計し,数値実験による有効性の検討をおこなっている.これらの成果は,海外研究協力者であるD.M. Titterington教授(英国Glasgow大学),Enzo Marinari教授(伊国Roma大学),Manfred Opper教授(独国Berlin工科大学),Remi Monnason教授(仏国Ecole Normale Superieure)の助言のもとでとりまとめ,International Workshop on Statistical-Mechanical Informatics 2010(平成22年3月)をはじめとする複数の学術会議において報告している.
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