| 研究概要 |
本研究では,情報統計力学による解析に現れる諸量,諸概念について,情報理論の立場からそれらの意義を明らかにすることで,情報通信の諸問題に対する情報統計力学からのアプローチを構成する数理的構造を明確に把握することを通じて,情報通信理論分野の方法論として情報統計力学を定着させる基礎を構築することを目指している.ランダム拡散CDMA 通信路モデルを含む一般の線形ベクトル通信路を主要な検討対象として取り上げ,以下の検討を行う.
(1) 解析的性能評価
様々な条件のもとでランダム通信路行列を仮定した場合の線形ベクトル通信路の情報伝送能力に関して,レプリカ法による解析的性能評価を試みる.
(2) 並列干渉除去アルゴリズムに対する外部情報伝送(EXIT)解析
低密度パリティ検査(LDPC)符号の復号アルゴリズムのダイナミクスの研究に有用なEXIT 解析を,ランダム拡散CDMA通信路に対する並列干渉除去アルゴリズムに適用し,(1)のレプリカ解析結果と比較検討することで,解析に現れる諸量の情報理論的な理解を目指す.
(3) ランダム行列の固有値分布
共分散型の構造をもつランダム行列の漸近固有値分布について理論的な検討を行い,ランダム通信路行列を仮定した線形ベクトル通信路の情報伝送能力の解析への応用を試みる.
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