研究概要 |
包括的遺伝子発現データやタンパク質活性時系列など、少ない量のデータからでも、安定した解析を可能とするような、情報統計力学的手法の開発を目的とする。特に階層モデルに基づくベイズ統計を用いた手法の開発を行う。 1.階層モデルに基づく遺伝子選択法 これまでの遺伝子選択法は、遺伝子ごとに別々の仮説検定を行う(多重性を全く考慮しない)ものと、遺伝子間が独立であることを仮定して全部まとめて仮説検定を行う(強すぎる多重検定)のいずれかが主流であった。遺伝子の発現モデルに階層性を導入し、遺伝子間でパラメータや隠れ変数(ラベル)など一部の情報を共有しながら、多重検定を行うことで、少ない量のデータからでも安定した遺伝子選択が可能となる手法を開発した(Oba and Ishii,2006)。 2.階層モデルに基づく多値判別法 階層的に判別を行うことで、複数の弱い二値判別器の統合からでも安定した判別を行う手法を開発し、甲状腺癌分類問題に適用した(Yukinawa et al.,2006)。また、この手法を符号理論と情報統計力学を用いた手法へと拡張することで、基礎モデルを開発した。 3.ベイズ的超解像法 画像の事前知識として、近傍画素間ではなめらかであるかそうでないかの2種の隠れ状態を取り得るとした階層事前分布を用いた、ベイズ的超解像法を開発し、自然画像に適用した。これまでの類似の手法よりも優れた結果を得た。
|