研究概要 |
包括的遺伝子発現データやタンパク質活性時系列など、少ない量のデータからでも、安定した解析を可能とするような、情報統計力学的手法の開発を目的とする。特に階層モデルに基づくベイズ統計を用いた手法の開発を行う。 1.階層モデルに基づく遺伝子選択法 これまでの遺伝子選択法は、遺伝子ごとに別々の仮説検定を行うものと、遺伝子間が独立であることを仮定して全部まとめて仮説検定を行うもののいずれかが主流であった。遺伝子の発現モデルに階層性を導入し、遺伝子間でパラメータや隠れ変数(ラベル)などの情報を共有しながら、多重検定を行う手法を開発し、またこの手法と既存のlocal FDR法などとの関連を議論した。 2.誤り訂正出力符号に基づく多値判別法 誤り訂正出力符号に基づき、複数の弱い二値判別器の統合からでも安定した判別を行う手法を開発した(Yukinawa, et. al., 2007)。復号器を確率モデル化し、モデル同定を行うことで、事後確率最大化復号を可能とする枠組みを導出した(Takenouchi and Ishii, 2007)。 3.ベイズ的超解像法 画像の事前知識、あるいはノイズ混入過程に階層性を仮定した場合の、ベイズ的超解像法を開発し、自然画像に適用した。これまでの類似の手法よりも優れた結果を得た(Kanemura, et. al., 2007)。タンパク質活性時系列変化を追うことのできる画像処理法を開発した(Tsukada, et. al., 2007)。
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