研究概要 |
少ない量のデータから安定したバイオインフォマティクス解析を可能とする手法を情報統計力学に基づき開発した。具体的には、対象データに適切な階層型モデルを導入したベイズ推定法および多数の情報源を統合するための統計的学習法を開発した。 1. 遺伝子発現プロファイルおよびタンパク質活性時系列データの解析法 遺伝子発現(入力ベクトル)からの複数種類の癌(ラベル)の分類を可能とする判別分析法の開発を進めた。二値判別器の出力ラベル(二値ベクトル)から多値ラベルを復号するECOC手法であるBradley-Terryモデルの拡張を行い、一般のECOC符号表にも使えるようにした(Takenouchi and Ishii, submitted)。 最適発見手続き(ODP)を確率モデルが階層構造を持つ場合に拡張を行うことで、説明変数同士が相関を持つ場合に有効な統計量の導出を行い、また階層ベイズ推定との関係について理論的な結果を得た(Oba and Ishii, 2009, to appear)。 2. ベイズ画像処理に関する研究 単一フレームの画像から画素増大を行う手法を教師あり学習の枠組みで定式化した。RVMのベイズ推定により、最尤推定法よりも効率の良い画素増大が可能となることを示した(Kanemura, et al., to appear)。顕微鏡による観測 画像面内に蛍光分子が1つであるか2つであるかを評価する統計的推定法を開発したので、今後業績化を行う。また、X線CTにおける三次元再構成を統計学習の問題として定式化し、組織ごとの吸収率はある程度既知とした混合事前分布を用いた事後確率最大化推定およびベイズ推定は、データ数が少ないなどの悪条件において高精度の再構成を可能とすることを示した(Fukuda, et al., 2010)。
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